デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

書評「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子著

昨日の続きです。

というワケで、電車読書用に何冊か本屋もしくはアマゾンで購入しています。

最近おもしろいなと思った1冊が田辺聖子さんの「嫌妻権」。これもまたいつか、書評を書くと思います。

 

実は幼少のころから田辺聖子さんのエッセイは読んでいました。

母親がファンで、源氏物語小倉百人一首の愛蔵版を寝る前に読むことを日課にしていました。エッセイも新刊が出ると買っていたので、私はとっつきやすいエッセイのほうをつまみ食いする感覚で読んでいたのです。

たぶんこれが私の初エッセイなんじゃないかな。「こんなおもしろい種類の本があるんだなあ」と、けっこうなカルチャーショックだったし影響を受けました(今でも)。

「ラーメン煮えたもご存じない」とか記憶に残っています。

いつのまにか田辺聖子=エッセイと思い込み、それ以外は読まなかったのですが、今考えるともったいないですね。「感傷旅行(センチメンタルジャーニー)」で芥川賞を受賞したときも、まだその重みをわかっていない小学生でしたから。

 

時は流れ、ずいぶん後で「ジョゼと虎と魚たち」を読む機会を得ました。

 

 

映画化もされて私の好きな池脇千鶴が主人公ジョゼを演じていたのですが映画は見ず。

でも映画によって若い人たち田辺聖子作品のよさに気づいてくれるならうれしいことです。

小説のほうは短編集なのですがこれ傑作です。どれもすごく瑞々しくて胸に迫る。

とくに「うすうす知ってた」は妙齢の女性の夢見る感じをすごく上手に書きだしています。田辺聖子さんがいくつの時に書いたのか?たぶん高齢だと思われますが、お世辞でもヨイショでもなく、ほんとうに少女の感性を持った人なんだと。

タイトル作の「ジョゼと虎と魚たち」も身障者(足が不自由な主人公)を描きながら、エロティシズムが行間から感じられる傑作です。

そして、田辺作品といえば関西弁。これが実に「由緒正しき関西弁」なんですね。本当はきれいで柔らかいことばなんだなと気付かされます。

 

もう何度も読み返して本がボロボロなので2冊目を買おうかと思っているくらいなのです。

 

 

きれいな文章の作家さんが好きです。

電車の中の時間、どうしていますか?という内容の記事を以前に書きましたね。

hitsuji360.hatenablog.com

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っていいますか、電車ネタ多いなあ。あらためて「電車」で検索したらかなり出てきました。ネタの宝庫ともいえるし、それだけ多くの時間を過ごしているともいえる。

で、今日はその時間つぶし(あんまりな言い方)の代表選手である読書についてちょっと続けて書いていこうと思います。

 

本を読むのに一番適しているのが電車です。適度な雑音や椅子の座り心地、移動しているあの感覚…。これ以上はないですね。家なんかだと途中で用事を思い出したりしてこんなに長い時間集中できなかったり。

 

というわけで電車で読むための文庫本は私のとって欠かせない存在です。

その中でも好みなのは「読んでいて気持ちがいい本」ですね。よく登場する村上春樹もそうですが、日本語のキレイな文章に惹かれます。

逆に言えば、どれだけストーリーが良くできていても文章に感心できない本はすぐに手放してしまう。あんまり書くべきじゃないかもしれませんが、ベストセラーの「舟を編む」は10ページで読むのをあきらめました。「本屋大賞」の選定基準に疑問を持ったし、それ以降は本屋大賞受賞作はチェックしなくなりました。

本屋大賞の第一回目受賞作「博士の愛した数式」があまりによかったので、残念な気持ちがあるのでしょうね。

 

博士の愛した数式」の著者である小川洋子さんも日本語のきれいな文章を書かれます。あとは田辺聖子さん、この方も本当にきれいな文章。

このキレイな文章の定義が難しいのですが…。

共通するのは、

・特別に難しい言葉わないのに心情を細かく描写できる

・日本語の響きやリズムが美しく、歌のように感じる

・読むのにストレスを感じない

 

といったところでしょうか。

偶然かもしれませんが、翻訳家(田辺聖子さんは古典の翻訳)の方が多いですね。

このあたりの因果関係もちょっと興味深いです。

サラリーマン風 隣の芝生は青く見える(再録)

本日は約1年前に書いた記事のリライトです。

1年前の俺よ、なかなかおもしろいこと言ってるね。もう1年近く経つのかあ。

初心にかえるのも大事だなと、思いました。

 

ではどうぞ。

 

タイトルのことわざをサラリーマン風にしたらどうなるか?思いついてしまったのでここに記します。ぜひお読みください。(途中で出てきますよ)

 

私が今の会社に入って1年くらい経った頃、同期と顔を合わせると「いつ辞めようかな」と言うのが挨拶みたいになっていました。

「俺が本気出せばすごいんだ。こんな会社じゃもったいないぜ」という幻想にとらわれている頃です。

思えば、あの頃に「俺はこの会社でがんばって社長になる」と言っていた同期は今、取締役や部長になっています。

バブル入社だったので実際に辞めていった同期は多かったのですが、「辞めようかな」の同期で残った人たちもそれなりのベテランになって会社のために尽力しています。

何がよかったのかは一概に言えません。

 

でも、あの頃にいろんなことがすでに動き始めていたんだと思えます。 

 

よその社長はいいこと言うなあ

「隣の芝生は青い」のことわざは、英語でも「The grass is always greener on the other side of the fence」と、まったく同じ意味のものがあるそうです。外人さんも我々と同じなんですね。

これをサラリーマン風に言うと「よその社長はいいこと言うなあ」となるのかな。

案外、身近な人のすごさって見逃しがちなんです。

私の場合、(恥ずかしながら)両親に対して尊敬の念を感じたのは30歳も過ぎた頃でした。やはりサラリーマンだった父もたぶん私と同じように青二才で入社して組織と協調したり反発したり、あるいは妥協したりしながら家族のために必死で働いてきたんだなあと遅まきながら考えた次第です。それも自分がある程度同じ会社で「仕事」というものに向き合ってきたから思えたんですね。

 

今なら転職される方は、きとんとした展望のもとスキルという裏付けをもってされていると思います。私たち「バブル組」なんかとは意識の高さが違う。

でも、単に隣の芝生がキラキラしてると思うんだったら考え直したほうがいいかもしれません。

 

ときどき居酒屋なんかで

「ウチの会社、こういうところがダメなんだよな」とか

「あの部長のおかげで業績が上がらないんだ」とか

「〇〇会社はすごいよ。社長の言ってることがちゃんとしてるもの」

なんて、聞こえてくるんです。

 

私も仕事柄、いろんな社長さんのお目にかかる機会がありました。小さな町工場や3チャン(父ちゃん・母ちゃん・兄ちゃん)の印刷屋さん、全国区の大企業の社長さん、チェーンの学習塾の経営者さま、うどん屋の店主さま…。

みなさん例外なく本当にすごいんです。語弊があるかもしれませんが、社員1万人企業の部長よりも社員3人の社長のほうがすごい。その責任感、バイタリティ、アイデア、決断力。

 

きっとあなたの会社の社長もたいへんなことやっていますよ。

テレビやネットなんかで取り上げられている社長は「露出が多い、弁が立つ」ということだと思います。

ウチの社長は「元気があれば何でもできる」というタイプの人です。

わたしも、全力で「ウチの社長」の力になっていきたいと思っています。sairoku 

クルマの思い出

家の近所にちょっと面白いクルマやさん(たぶん中古車販売)がありまして。

いつも私好みのクルマが数台置いてあるのです。

昔、私が乗っていたスプリンターAE86、往年の名車いす117クーペ、あまり見たことのないBMWの最近のモデルだとか、新旧とりまぜて私を喜ばせています(そのつもりはないのですがね)。ポルシェやマセラティフェラーリなんかも時々は顔を見せますので防犯の為か近年、丈夫なゲートを設けていました。

でも、私のツボはやっぱり旧車かなあ。今のクルマもかっこいいけれど、昔のクルマってなんか「作ってる人の夢」が感じられるのですね。

で、ここ数週間置いてあって気になってるのがこちらなんです。

これ、おわかりになりますかね?

スカイライン・ジャパンという愛称で親しまれていた国産車(日産)です。

昔、私の父が買って家族で乗っていた思い出のクルマなのです。前にも書きましたが、私の郷里の愛知県はトヨタ自動車のおひざ元。トヨタ系列の会社に勤める親父が日産車を買うのはかなり勇気のいることなのです。

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それも当時としてはけっこう贅沢な部類の車種ですし、あのまじめな親父がよく買ったなあと今さらながら思い出します。

 

せっかくなので横と後ろからのアングルも載せますね。

ああ、当時も思ったけどけ「やんちゃ」なクルマですね。

親父が毎週日曜にうれしそうにクルマを洗っていた記憶がよみがえる。

「このグッと前傾になっているのがスポーツカーっぽくていいんだよ」と小学生の私に話していた父はまだ30代だったんだなあ。

親父もスカイラインも「やんちゃ」だったんだと感慨深いです。

 

クルマの想いでといえば、このスカイラインを買う以前にクラウンクーペを親戚から借りてきて家族で近所をドライブしたこともありました。

まだエアコンの付いたクルマが珍しい頃で、みんなで「涼しいねえ」と言い合っていたのですが、子供のわたしが慣れないエアコンにくしゃみ一発。家族で大笑いしたのもいい思い出です。

健康食品の経験

今日ここに書くのは、私の健康食品の体験談ではありません。

青汁もグルコサミンもとりあえずまだ飲んでいませんし。

興味はあります。健食のよいところは医薬品ではないので、リスクが少ないところかなあ。逆に言えば効き目が保証されていないのですね。

「健康効果が期待される」という言い回し、最近よく聞きませんか?

二重にも三重にも薬事法からのツッコミを回避している言い回しです。なんたって、「効果」が「期待」「される」のですから。主体的な要素を極力なくしてる。

 

それでも市民権を得てきました、健康食品。

理由としては、やはり需要が増えたことが大きいのでしょう。

「病気になってから薬を飲む」という考え方から、「病気を普段の生活で防ぐ」という未病の考え方にシフトしました。医療費の拡大や大手企業の参入も要因の一つでもあります。サントリーやアサヒ、タニタファンケル、DHC…。

もう、ひと昔前のちょっと怪しげなイメージはありませんから。

 

そう、20年くらい前って健康食品は「ちょっとアヤシイ業界」だったのです。いや、あくまでもイメージでほとんどがマジメにやっている業者さんなのですが。

当時私はある健康食品の会社のデザインを担当していました。

パンフレットやDM、バナー、雑誌広告、テレビ宣伝用イラスト、キャラクター、イベントブース、そしてパッケージデザイン。

まだ新米デザイナーの私にとって、刺激的で楽しい仕事だったと記憶しています。

特にパッケージに関しては、「店頭でどう見えるか?」を初めて気にした案件ですね。「気づいてもらって、買ってもらう」これができなければデザインの意味がないということが実務レベルで体験できたのは貴重ではありました。

 

今あの健食屋さんはどうなってるかな?と調べたら、大手に吸収されていました。ちょっと残念ではありますが、いろんなノウハウが違う形で生かされていると思えばそんなに悪い話ではないのかも。

今思えば幼稚なデザインをほめていただいたり、貴重な体験をさせてくれた会社様には本当に感謝しています。

秋元康の詩に学んだこと

最近、秋元康先生のテレビ出演が多くなってないですか?

前にラジオの番組を持った話を書いたけど、

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そこから堰を切ったように露出が増えた感じです。ただテレビでの秋元氏はラジオとは違ってもう少し実利的な「人に響く作詞法」を説く役割が与えられています。

ラジオよりもテレビのほうが「わかりやすさ」を求められるメディアだということがよくわかる。まあ、これはこれで面白いからいいのです。裏方の人の話ってあまりテレビ的じゃないけれど、私はすごく好きなんですよね。

 

で、彼の作詞の作法がまた面白いのです。比較として同じベテラン作詞家の「松本隆」が出てくるのですが、作り方がまるで違う。バンド出身(パートはドラム)の松本氏はすごく「言葉の音」やノリを大事にして曲を組み立てる。対して放送作家出身の秋元氏は、自分の体験からインスパイアしていくという感じです。

インフルエンサーマーケティング用語だしフォーチュンクッキーはたまたま彼がその時に出会った体験がもとになっている。自分の琴線に触れるものを「時代の声」として歌に込める手腕は素直にスゴイと感じます。

自分が感じなかったら、人を感動なんてさせられないのでしょう。そして案外身近な日常にダイアモンドは存在している。これはクリエイティブ全般に言えることだと思いますけれど。

これだけ大御所になってもいまだに若手の動きを気にしたり、リスペクトしたり。そんなところも見習いたいですね。

 

日清紡のCM CGだとちょっとガッカリ?

最初に言っておきますが、そんなに嫌いじゃありません。むしろ好きなほうですね。


www.youtube.com

 

日清紡〜♪ 名前は知らないけど〜

日清紡〜♪ 何をしてるかは知らない

 

そうだな。

たぶん紡績関係なことは察しがつくけれど、最近は多角化が進んでいるだろうからいろんな分野で活躍していることでしょう。

私たちの暮らしにも恩恵があるのは確かでしょうが、具体的には「知らない〜♪」

まあ、今から日清紡に電話して聞くのも迷惑だし「ネットで調べてね」といったところですか。

そもそもが個人向けの商売はやっていない、こういう会社のブランド広告って何のためにやっているのでしょうね。

ミラバケッソクラレとか、石川島播磨重工(IHI )とか。

企業の発注担当のお姉さん向けなのかな?

うーむ、わっかんないなぁ。

 

それはとりあえず置いておいてCMの話に戻ります。

前のマレーグマから気になっていたのですが、やはり映像に手を加えているのかな?と。

知らないほうがいいこともあるし、せっかくの面白さが半減しちゃうのは残念なのでちょっと調べるのをためらいました。

いや、やっぱ気になるので調べよう。それはそれでいいじゃないですか。

 

utaou-nisshinbo.jp

 

公式サイトでは、お馬さんのプロフィールを知ることができます。

ネットって便利だなあ。で、肝心の映像のからくりはここには載っていませんでした。他のサイトでは、どうやらCGのようですね。ちょっとだけガッカリしたけれど、大真面目にこれを作ってる大人がいるというのもなかなか悪くない。

 

考えてみれば造花や印刷も、「なあんだ本物じゃないんだ」とガッカリするアイテムかもね。でもみんな人を和ませようとしてるんだから、いいんじゃないですか?

うん、そう思う。