デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

広告コピーの世界 ~ココロも満タンに~

 

ほぼ日をほぼ毎日読んでいるのがほぼ日課になりました。

思えばこの世界(デザイン)に入ったきっかけは糸居重里氏をはじめとして80年代を引っ張ってきたクリエイターの華やかな世界に憧れたから。糸居さんについての憧れは、「ちょっと反発しながら憧れる」という歪んだものでした。独特のクセのあるコピーやあえて視点をズラすようなアプローチに、当時は「もっとストレートなものでもいいんじゃないか?」と思いながらその影響力には感嘆していたものです。

いま、氏の本を何冊か読んでその背景やコピーの幹の部分が理解できたのですが。

 

ココロも満タンに

これは糸居氏ではなく、中畑貴志氏のものです。1997年の誰もが知っているいわゆる「名作コピー」でしょう。名作コピーといわれるものはあまり取り上げたくない気持ちがあったのですが、ほぼ日での中畑氏の一言を読んであまりの深さに驚いた次第です。

クライアントはコスモ石油。ガソリンスタンドがメインの業種ですから、売るのはおもにガソリンですね。どこのスタンドのガソリンもそれほど大差はありません。厳密にいえば成分とかあるのかもしれませんが、だいたい、少なくなってきたときに出会ったガソリンスタンドや近所の行きつけで済ませますよね。でも、「スタンドで供給されるのはガソリンだけじゃない」ことに中畑氏は気づいたのだと思います。

心遣いや笑顔、きめ細かなサービス。そんなものがドライバーにとって実は大切な要素じゃないかと。これは「付加価値」とも違う、ガソリンスタンドの企業姿勢という上位概念だと思います。

中畑氏の弁によると「アルバイトのにいちゃんが、このコピーがあることでいいサービスをするぞと思えるようになるといいな」ということです。CSRとか言われていない時代に、コピーによって内側から変えていくことを目論んだ先見性はやはり素直にすごいなと思わざるをえません。そして、そんな素晴らしい企業ならガソリンもきっといいものだろうと商品にもフィードバックされていくのです。

難しいコピー理論よりも、たった8文字でここまで実際に企業イメージを変えたということに尊敬と憧れを覚えるのですね。コピーライターだけじゃない、コスモ石油のスタッフの仕事への熱量がなければ完成しません。だから簡単に「名作」などと言ってはいけないのだとも思いました。

 

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