パッケージデザイン開発とマーケティングリサーチをおこなうプラグ(東京・千代田)の実施した2021年8~10月に発売された609商品の好感度調査です。
ロングライフ商品の3位独占
どれも、かなり長いスパンで展開していますね。基本的には「変わらないおいしさ」をキープしつつ、バージョンアップやバリエーション展開をしていますし、パッケージデザインもそれに合った踏襲型と見受けられます。
選んだ理由を見ても、「昔から見慣れているから」「文字がなくてもこの商品だとわかる」「この商品が好きだから、無意識に…」という感じ。条件反射とも言える理由が並びます。
パッケージデザイナーはどんな気持ち?
すでに認知されて売れている。こんな恵まれた状況ですからデザインも楽なのでは?と短絡的に考えますが、そうでもないのでしょうね。いままでのデザイン資産を活かしながらもお店の棚で目を引かなければなりません。また、デザイナーたるもの「新しい冒険がしてみたい」という誘惑もあるはず。
そんな中、いかに消費者の安心感をキープしつつマイナーチェンジを図るかに日々腐心していることと推察します。老舗の商品って変わっていないようで実は少しずつ変えているらしいです。
変わらない勇気
昨日「ザ・フィンランドデザイン展」に行ってきたのですが、そこでも似たような感慨がありました。
デザイナーというと「新しく何かを考える人」「何かをダイナミックに変えていく人」と思われる方も見えるかもしれません。そういう面もありますが、新しいばかりが先行すると「よいもの」という視点がおざなりになります。特にプロダクトデザインなどは斬新な発想よりも積み上げてきたもののブラッシュアップや再構築が重要になったりします。「洗練される」とはそういうことかもしれませんし、それがまたロングライフにつながっていくのかと。
サスティナブル(持続可能な)という言葉が流行っていますが、エコロジー的にも商品の質を高めることこそが物のサイクルを長くして地球にやさしいと思います。
私の職業であるグラフィックデザインにはあまり関係のないことのようですが、ネット社会により短いサイクルで消費されることは同じです。世の中の動向に目を向けつつ、じっくりと変わらずに成熟させる部分も大事にしていきたい。そういう勇気も持ちたいなと思った次第であります。