前に書いた記事で、わりと気に入ってるものがあります。
ここに書いた「アノニマスデザイン」は、気づきにくいけれど私たちの生活のいろんなところに溶け込んでいます。そりゃそうだ。そういう性格のデザインですからね。
私はそんな控えめで遠慮深い「モノ」たちが大好きなのです。
というわけで、「なんてことないデザイン」というカテゴリーを作りました。
私が買ったものや街でみつけたものを取り交ぜて、簡単な解説と私の思いを書いていきますね。
第一弾はこれ。わが家のリビングルームにあります。
ほんとに存在を忘れてしまうくらいの「なんてことなさ」。
イタリアの巨匠カスティリオーニがピエル・ジャコモとともに展示会に出品した作品といわれています。いろんな色のバリエーションがありますが、その中でも存在感のないものをチョイスしました。
え?もっとシンプルでアイコン的なものがあるでしょう、無印良品とか。という声が聞こえてきそうです。そう、シンプルなものはあるのですがそのシンプルさが主張してしまうのですよ。「ほら、すっごくシンプルでしょう」ってね。
この時計にはそれさえもありません。しつこいようですがこれが「アノニマスデザイン」であり、これはわかりやすい例です。それを作るのはすごい完成度と洗練、そして社会的既視感を必要とする。
覚えていないですか?ファミレスとかでよく見るとあったりしますよ。
でも、ここまで言っておきながら実はこのデザイン「ひねり」があります。
この時計、どこか1か所間違いがあるのです。さあどこでしょう?
ローマ数字の4の部分。これ間違っているのです。正解はⅣです。
これは時間をわかりやすくするための施策であり、巨匠カスティリオーニの茶目っ気なのかもしれませんね。