デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

80年代J-POPアルバム紹介 ~奇跡の1枚~ 松任谷由実

冬と言いながら、もう3月になってしまいました。

せっかくなので、ひな祭りということもあり女性アーティストにしようかな。

で、いきなり大御所の登場です。

 

REINCARNATION

REINCARNATION

  • アーティスト:松任谷由実
  • ユニバーサル ミュージック (e)
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ユーミンですね。70才を過ぎても、「ユーミン」です。

この時代のアーティストって成長の過程を見せながらアルバムをリリースしているのがすごくおもしろいなあって思います。普通に音楽を楽しむ他に、なんだか冒険記を読んでいるような楽しみがありました。今みたいに音楽を作る人が多くなかったし、リスナーも大らかに音楽を聴いていたという背景があるのでしょうね。まあ、いい時代とも言えるかもしれないけれど、本人はどう思っているんだろう。開拓者としての大変さはもちろんあったのでしょうが。

余談ですが、先日クライアントのある八王子を訪れたときに「荒井」の表札を見ました。営業に「ここがユーミンの実家です」と教えてもらったのです。感無量でしたね。けっこうミーハーな、私。

 

REINCARNATION

何を隠そう、これが私の初ユーミンです。だからこれを「奇跡の1枚」というのは、ちょっとひいき目に過ぎるかな?

だって、ホントに衝撃だったから。もうA面1曲目からキャッチーな曲のオンパレード。すごいスピード感。バラードでさえ、気持ちを高揚させるスリリングな輝きに満ちています。これだけキャッチーなのに目立ったシングル曲がないのもスゴイことです。

「これはいったい何なんだ?」と当時高校生の私は驚いたものです。

ジャケットのアートワークもめちゃくちゃ斬新ですよね。今見るとLSIとかICの密度が低くて時代を感じるけど、単純に美しいし無機的な感じと「生まれ変わり」という意味の

REINCARNATIONとのギャップに萌えます。

その後、ほとんどのユーミン作品を買いあさりましたが、これが一番ロマンチックなテーマだと断言します。

過渡期の1枚

このアルバムは、奇しくもそのテーマの通りユーミン自体の「生まれ変わり」をも表しています。そういうアルバムが名盤であることは前の記事にも書きましたね。

REINCARNATION以前のアルバムも何枚か聴きました。いわゆる荒井由実時代のものも。これはこれで好きですし、そういうユーミンファンはすごく多い。

ちょっと影があって、複雑なコード進行と奥行きのあるサウンド

しかし、このアルバムからかなりシンプルでストレートな表現に変わります。

何があったんだろうってくらいに。タイトル曲の「REINCARNATION」なんて、サビの部分は2音しか使っていません(後年リリースするラヴ・ウォーズもそう)。

リリースされた時代は、東京ディズニーランド開園の時期で、音楽界もマイケルジャクソンを筆頭にしたMTVで大きなムーブメントがありました。

プロデューサーである松任谷正隆氏は、音楽をエンターテインメントとしてとらえなおしたのかもしれませんね。

 

私が知る限りでは、この1枚からユーミンの第二楽章が始まり、快進撃となっていくのです。そして、私のとってはこの1枚が、いつまでも宝物となっています。