デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

80年代J-POPアルバム紹介 ~奇跡の1枚~ 竹内まりや

竹内まりやの存在って不思議だよなと思っていましたし、今でも思います。

デビュー当時はアイドルだったんです。嘘みたいですが。

でも音楽的な素養はめちゃくちゃ持っていたし、頭もよくて(慶応卒)英語もペラペラ。でもその有り余る才能をメディアはあまり取り上げなかったと記憶しています。バラエティー番組で、他のタレントと運動会とかに出てたりして、「かわいいな」というのと同時に私も子供心にちょっとした違和感を感じていました。

そのあたりは本人も悩んでいて、後に亭主になる山下達郎に相談したことをラジオ番組で聴いたことがあります。

 

 

面目躍如と言っていいのか?いやそんなモノじゃないでしょう。このアルバムのクオリティ。A面がロスアンゼルス、B面が東京での録音で、どちらもAORという部類に入る音楽です。特にA面の洋楽っぽさがもうスゴいに尽きる。当時は知らなかったけど錚々たるメンバー(TOTOのミュージシャン)が参加しており、ツボを得て引き締まったサウンドはもう洋楽といってしまって差し支えないでしょう。こうなるとB面の「二人のバカンス」が浮いてると感じますが、これはこれで箸休めというかメリハリになっていいんです。

この後、「ポートレート」という傑作を出してレコード会社移籍や結婚とかいろいろ変わっていくのですが…。このポートレートは日本の名だたるソングライター陣がわきを固める素晴らしい1枚。でもこれも「miss M」があったからリーチできたアルバムだと思います。余談ですが、「ポートレート」の佳曲といえば林哲司作曲の「僕の街へ」かな。

 

ボーカリストとしてのクリエイティブ

上記アルバムで竹内まりやも何曲か作詞していて、ご本人もそれはことあるごとに言及していました。

私としては「ヴァラエティ」以降のシンガーソングライター路線も嫌いじゃないけれど、「歌う」というプリミティブな行為に宿るクリエイティブがすごく好きで、ここに紹介したアルバムが気に入っている理由の一つなのですね。

音楽が「音を楽しむ」という行為であれば、いいミュージシャンとソングライター、そしてボーカリストがご機嫌な音を聞かせてくれさえすればそれでいいんだよなと、このアルバムは教えてくれます。