「俺ってセンスないからさー」と言って、原稿を書かない営業マン。
こういう場合、だいたいにおいてセンスの問題ではありません。単なる怠慢であったり、圧倒的なスキル不足なのですね。で、そういう方は高齢のベテラン社員が多いので始末が悪い。役職定年になった元部長のエルダーさん、あなたの会社にもいませんか?まあ、彼らのスキルって現在のものとは違うので(根回し・寝技)、お気の毒ではあるのですが。現実問題として「そんなこともできないんですか?」とも言えず、困るのは相談されやすいデザイナーだったりします。あ、センスの話でしたね。
センスとは
物事の微妙な感じをさとる心の動き。微妙な感覚。
そんなものがホントにビジネスシーンで必要なのでしょうか?たぶん、それ以前に解決すべき課題は山ほどあります。例えばソリューションであれば、
●ユーザーやクライアントの「困りごと」は何なのか?
●対策案(サービス・製品)と明るい未来の提示
●具体的な施策
まずは、このフォーマットで情報を埋めること。そこからやっと「センス」という言葉を使ってもいいのかと存じます。
デザイナーもそうですね。どうもセンスに頼りすぎるきらいがあります。整合性がきちんとしないところにセンスを持ってきても「結局何が言いたいの?」って感じ。しつこいようですが、情報の整理やコンセプトをとことんすることがやっぱり大事なんだと思います。
世間とのズレ
デザインセンスのお話でいえば、トレンドを取り入れるのも大きな要素の一つです。デザインはアートとは違いますから、かっこいい言い方をすれば「時代と心中する」覚悟で作っている部分はありますね。
かなり昔に横浜銀蝿が流行っていましたが、あれが「すごくいい」と本気で言われた時代があったと思うと「流行ってなんだかなあ」とも思います。
それでも例えばイラストを入れるときには、やはり「今」を意識したものでないと「今のお客様」に響くものにはなりません。よく後輩がレイアウトしたイラストを見て「こんな人いないよ。昭和か」とか「今の流行色くらい押さえとけよ」と厳しいことを言います。世間とのズレは、意図してやらない限り「とてもダサいもの」にしか映らないのです。そういう意味では普遍のデザインは存在しないと私は考えています。
謙虚でいることの大切さ
私はデザイナーのトップランナーではないので、時代は無視できません。ただこれだけははっきり言えることがあります。それは「好きなものしかできない」ということ。なるべく嫌いなテイストにならないように仕事を操作するのも「好きなものしかできない」に由来しています。そのためには、誠心誠意お客様の気持ちを汲み取ってやれることはやる。謙虚な気持ちを忘れないようにしたいと思います。