デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

空気を読むことについて ~喘息から学んだこと~

思いおこせば小さなころから喘息の気があったのかもしれません。

長距離を走った後に「ゼイゼイ」言っていた記憶がありますから。

本格的に喘息を発症したのは26歳でした。きっかけは結婚して住んだ家のアスベストとかじゃないかと思います。推測なんですが。

 

苦しいですよ喘息

病気らしい病気はしてこなかったので他の病気について言及できないのですが、「当たり前のことができない」というもどかしさは筆舌に尽くしがたいです。

喘息で言うなら「息を吸うこと」。

基本的に発作は夜に出ますので、夜が来るのが恐怖になります。夕方くらいから喉のあたりでヒューヒューという音が出始めます。そしてだんだん、呼吸に抵抗感が現れるのです。「そこにある空気を意識して吸う」という感覚です。

息を吸うことに意識が行くために、本も読めないしテレビにも集中できません。

糸井重里氏も喘息だったようですが、彼はスーパーマリオブラザーズでしのいだそうです。私もゲームをやればよかったのかもしれません。

当然寝付けなくて、それでももう寝るしかないので体を横にして長い夜をやり過ごします。横になるとしだいに空気が重く苦しくなるので、座ったり寝たりを繰り返して睡魔が来るのを祈るように待つのです。

読んでいてもなんだか苦しくなってきますね。すみません。

 

喘息治療について

喘息の人はそうでしょうが、いろいろな治療を試しました。内科、呼吸器科、アレルギー科から始まり、整体、食事療法、徹底的な掃除、そして神頼みです。「ワラにも縋る思い」と言いますが、どれももろくて細いワラのように感じます。これといった手応えはありません。希望と落胆の繰り返し。

最終的には雑誌なんかに載っている、「見識の高い」「勤勉な」お医者様のいる病院の受診が私を助けてくれました。

まず言われたのが、「死ぬよ、下手すると」。

続いて、「適切な治療で治ります。私の言うとおりにしてください」。

実際にやったのは定期的なステロイドの吸引です。吸引した後少しクラっとしますが、呼吸がラクになり眠れるようになりました。徐々に自分の生活のペースを取り戻す作業です。次にステロイドを「苦しいときだけ」にしていきます。そして喘息の症状はいつの間にかなくなっていました。

 

f:id:hitsuji360:20211003215407j:plain

 

空気について考える

この経験は、私に「空気」というものの存在を意識させるようになりました。

見えないけれど確実にそこにあるもの。

「空気を読む」とか「空気読めよ」とか比喩的に言われますが、私はリアルにそれを実感できます。まったく、転んでもただでは起きませんね。

たぶん私は、(喘息を経験していない)他の人よりは多少なりとも「空気を読む」ことが多いと思います。いい悪いはともかくとしてね。

その場の雰囲気や会話のニュアンス、そこに意識を馳せることは私のような職種の人間にとっては有利に働くこともままあります。

だから「喘息から学んだこと」ではなく、「喘息によって作られた体質」かもしれません。