この曲もすごくよくカバーされますね。
当たり前かもしれないけれど本人を超える「ファイト!」はまだありません。これは「糸」にもいえることだけど。ま、だいたいオリジナルを超えることが稀有なんでしょう。でも、カバーする人のリスペクトが感じられてどれもいいです。槇原敬之のバージョンも好きです。
このYouTubeでは吉田拓郎が歌っています。もしかしたら中島みゆきは吉田拓郎のために作ったんじゃないの?というくらい拓郎節に合っています。通じ合う音楽性みたいなものがあるのかな。
確か、この曲は中島みゆきのラジオ(オールナイトニッポン)での投稿ハガキがひとつのきっかけになっていると記憶しています。
「私中卒やからね、仕事をもらわれへんのや」で始まる歌詞はすごく強くて、いきなりガツンときます。
最近のいわゆる”聞いてる人への応援ソング”とは一線を画していますよね。すごい領域に踏み込んでいる。私がこれを始めて聴いたのは高校生の時で(アルバム:寒水魚)、本当にびっくりしました。多感な時期だったのも大きいとは思います。あれからオリジナル、ライブバージョン、カバーと何度も聴き、歌詞はほとんど空で歌えます。
「ファイト!戦う君の歌を、戦わないやつらが笑うだろう」
「ファイト!冷たい水の中を震えながら昇っていけ」
今、書いていて鳥肌が立ちました。
「ファイト!」の部分は部活(バレー部とか)で1年生が上級生に対して送る掛け声のような響きです。そこには音楽ではなく中島みゆきの「歌」が息づいています。
そして最も印象的な歌詞、
「ああ魚たちの群れキラキラと、海の中の国境を越えていく。あきらめという鎖を、身をよじってほどいていく」。
今、何も見ずに書きました。間違えていたらすみません。でも、なんか調べるのは違うかなと思いまして。
この「あきらめという鎖を、身をよじってほどいていく」というところが、時代を感じます。当時は自由って鎖にしばられたところから抜け出していくことだったんですね。
今、時代は変わりました。SNSの話を持ちだすのは陳腐かもしれませんが、「つながっていること」こそが自由なんです。40年経てば、隔世の感はあります。
それでも、この歌は生き続けている。本当にたいしたものです。