01. A面で恋をして (作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一)
02. 彼女はデリケート (作詞・作曲:佐野元春)
03. Bye Bye C-Boy (作詞・作曲:佐野元春)
04. マンハッタンブリッヂにたたずんで (作詞・作曲:佐野元春)
05. Nobody (作詞・作曲:杉真理)
06. ガールフレンド (作詞・作曲:杉真理)
07. 夢みる渚 (作詞・作曲:杉真理)
08. Love Her (作詞・作曲:杉真理)
09. 週末の恋人たち (作詞・作曲:佐野元春)
10. オリーブの午后 (作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一)
11. 白い港 (作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一)
12. Water Color (作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一)
13. ハートじかけのオレンジ (作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一)
いま、まさにこのCDをかけながらこの記事をかいています。
思わず聞き入ってしまい、なかなか筆が進みません。でもこのまま続けますね。
プロデューサー大瀧詠一の面目躍如
まず、3人の個々のアーティストが曲を持ち寄り1枚のアルバムにするというコンセプトが斬新です。一緒に演奏するのは、「01.A面で恋をして」だけ。あとは演奏も個々のバンドやスタジオミュージシャンが3分の一づつという構成です。それでも全く違和感なく気持ちよくつながっていきます。さすが大瀧詠一というところですか。
二人の後輩アーティスト(佐野・杉)の才能の発掘から、そのプロデュース。彼の音楽的また人間的なバックボーンがあればこそでしょう。
佐野も杉もこれ以後、大きなブレイクにつながっていることから存在の大きさがわかります。
まあ、このアルバムに誘われるのはチャンスでもあり、リスクでもあるのでしょうが。
「いい作品ができなかったら…」という怖さはなんとなく想像がつきます。
そこを楽しくレコーディングさせる手腕が、しつこいようですがさすが大瀧師匠なんですね。
このアルバムでは地味ですが「11.Water Color」が唯一性があって好きです。ちょっと「雨のウェンズディ」の雰囲気です。
ポップを増幅させ、自分の持ち味を見出した佐野元春
この中で一番、私の好みのアーティストです。彼のアルバムは「FRUITS]あたりまでずっと追いかけていますが、その歴史は「変化の歴史」といっていいくらい。ただ、ベースにあるのはやはりロックなんです。このアルバムでの佐野元春もロックではあるのですが、大滝フィールドということもありかなりポップな味付け。大瀧師匠に「もっとロックテイストに」と言われたエピソードもなんだか可笑しいですね。
収録曲で言えば、どれもすごくいいです。初期の作品とは思えない完成度で、ずっと聴いていられる普遍性を持った曲たち。選ぶのが難しいけど、あえて「09.週末の恋人たち」を選ぼうかな。出だしの「求人広告片手に仕事を見つけにいこう。いつかあの娘と約束した通り♪」がすごく好きだから。こんなに私小説風な佐野元春は他では聴くことができませんからね。
このあと、名作「SOMEDAY」が発表されるワケですが、彼は彼の持ち味(ロック)を見つけるためにナイアガラトライアングをうまく利用できたんじゃないかな。そこが、ポップ路線に磨きをかけるために利用した杉真理との大きな違いだと思います。
ソングライターの枠を超えた杉真理
姉が好きでしたね、杉真理。私も影響されて好きでした。ビートルズマニアでもある彼の音楽に対する愛情が彼のアルバムには詰まっています。音楽的なバックボーンのあるアーティストが好きなんですよ、私。ただ、佐野元春が好きすぎてちょっとだけ甘口の杉真理は途中からあまり聴かなくなりました。このアルバムでの彼の曲はどれも好きです。理由はわかりませんが、ナイアガラトライアングルの収録曲はすべて「イントロなし」なんですね。どれもいきなりの歌い出しです。偶然かもしれませんが、あえて定石を外すことでソングライターとしての枠を超えようとしたのかな?と余計な想像をしてしまいます。
悲しい歌詞ですが「06. ガールフレンド」が印象的。彼のどのアルバムにもない感じで「聴いていてなんか落ち着く」不思議な曲です。
春のドライブにおすすめ
バラエティに富んでいて、基本的にすごくポップなのでドライブのお供には最高です。
すごく豪華なCD-BOXが出ているようですが、マニアでなければ通常版で十分。むしろ13曲ぴったりで聴いたほうが、気持ちいいかも。
お勧めですよ。