デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

J-POPアルバム紹介 ~奇跡の1枚~ 夏

17歳くらいに音楽に目覚めてずっと聴いていますが、その熱は下がっているのでしょうね。CD(配信)を買わなくなったもの。

十代の頃は、CDじゃなくレコードでした。12インチのアルバム(LPと呼んでいた)と17センチのシングル盤(あまりEPとは呼んでいない)があって、お小遣いのほとんどをレコードに使っていました。

これから「奇跡の1枚」と銘打ってレコード(ここではCDも配信もすべてレコードと呼びます)を紹介しますが、音楽って聴く人の状況にもすごく左右されるものです。

十代の多感な頃に聴いたこと、他にレジャーがなかったあの頃、音楽を取り巻く状況…。それらが多分にそのころの音楽をひいき目にしてしまうことは承知の上で、ご紹介することにします。

 

奇跡の1枚とは

アーティストがリリースしたレコードの中で、「この1枚はすごい。神がかっている。」と思わせる1枚がありあります。完成度とも違うし、どれだけ売れたかとも違う。それならベストアルバムになっちゃいますよね。そうではなく、

 

「その時、その年齢」の

・声のコンディション・声の年齢

・バンドの編成

・機材(新しければいいわけではない)

・アーティストのモチベーション(必ずしも安定がよいわけではない)

 

これらが相まって、奇跡の1枚ができるのです。たぶん…。

アーティストの実力以外の要素も多分にあるので、「神様からのギフト」をもらった選ばれしアーティストが、(もちろん努力とセンスは前提)生み出した音楽です。

若干ひいき目になることは前述しましたが、

「ちょっくら昔の音楽でも聴いてみっか」とか

「時間がもったいないから、良いのだけ聴きたいよ」という殊勝な若者は参考にするとよいかもしれませんよ。ではでは。

 

杏里(ブギウギメインランド)

LA録音。バンド全員海外アーティストの骨太サウンドだけど、日本人の耳なじみのいい1枚。

杏里の人脈のすごさ、作曲センスが光っています。確か、この前の3部作が角松敏生プロデュースで大ヒットだったんですが、ここで大きく方向転換。この度胸スゴイ。

角松敏生も好きで、3部作もエッジが効いてめっちゃよかったんですけど、奇跡の1枚は「ブギウギメインランド」になります。角松のエッセンスを活かしつつ、杏里プロデュースで切なさや女の子っぽさをうまく表現しきっています。私、「捨て曲」ってどんなレコードにも基本ないと思っているんですが、これは全部好きです。

この後も杏里プロデュースは続くのですが、ちょっとリゾートっぽくなっていったりブギウギメインランドの焼き直しになったりで、彼女も苦しんだのではないでしょうか。

 

山下達郎(FOR YOU)

出ました。天下の山下達郎です。確かこれはかなり売れた1枚なのでちょっと趣旨と違ってしまうのですが、いいんです。達郎さん的にはその前の「Ride on time」がお気に入りのようです。タイトル曲にもなったシングル「Ride on time」は大ヒットしましたし、すべての曲が思い入れたっぷりで、サウンドもすごく凝ったアルバムなんですね。

達郎氏もやり切った感があるのではないでしょうか。

でも、そのあとのちょっと吹っ切れた感じの「FOR YOU」がいいのです。声の伸びもたぶんピークですし、ちょうどコンピュータによる打ち込み音楽全盛の前夜でブラスアレンジがピカピカしています。なにより、達郎がとんがっているんです。今まで売れなかった鬱憤やマスコミへの憤りが「Ride on time」で晴れて、「まだ、こんなもんじゃないぜ」という勢いがある。全体にカラフルで、なんだか洋楽を聴いているような印象を受ける極上のアルバムです。

ここからもヒット作を連発し、私のお気に入りもたくさんあります。でも、アルチザンくらいまでかなあ。そのあとは侘びサビの深ーいところに行ってしまって、ちょっと演歌風ともとれる領域です。結局日本人は演歌なのか?年を重ねてそうなるのはわかるんだけど。

音楽って円熟がすべてじゃなく、「欠けている」ことが時にいい作品を生むのかもしれません。

 

角松敏生Gold Digger

杏里プロデュースでも登場の角松です。これは当時聴いていた(クルマがほとんど)状況が青春真っ只中だったのでひいきかなあ。彼女もできて浮かれていたし。でもそれを差し引いても名盤です。彼の中で最も色気のあるアルバムです。「臆面もなく」という表現が正しいかはわかりませんが、けっこうストレートでいい意味でエッチな作品です。

シングル「東京タワー」を中心に、彼のフェロモンがノリノリなんです。角松敏生がいくつの時に作ったのかわかりませんが(調べろよ!)、たぶん二十代の後半でしょうね。それでも早熟だけど。

で、最後の曲がオチじゃないけど「No end summer」というさわやかな1曲。なるほどザ・ワールドのエンディングで使われましたが、これがいいアクセントになっています。計算なのか?角松すごいです。

 

 

と、本日はここまで。これは長くなりそうなのでちょくちょくブログにいれていきます。お付き合いのほど、よろしくお願いします。

 

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