山路を登りながら、こう考えた。とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。情に棹させば流される。
夏目漱石の「草枕」の一節ですが、これがいわゆる「サンプル文字」として使われているのですね。どういうことか?
まだ文章が固まっていないけれど、デザインのイメージ制作だけ先に進めたいときに「とりあえず」の文章を入れておくのです。こんな感じにね。
「○○○○」とか「××××」というやりかたもありますが、イメージがうまく伝わりません。そこで草枕登場というワケなのです。
この機能はAdobeイラストレータ(2017以降)に最初から入っています。テキストボックスを作った時点で(おせっかいにも)自動的に入れてくれます。本当に入れたい文字がある場合はこの草枕を違う文字に差し替えるという作業になるのです。
テキストボックスではなく、テキストツールでワンクリックするとどうなる?
「山路を登りながら」が自動的に打ち込まれるんですよ。これが世にいう「山路問題」。デザイナーさんが意図せずポチっとしたが故に「山路を登りながら」が画面に残ってしまうという…。ああ恐ろしい。
「なんのこっちゃ」なデザインの出来上がりです。
ここには載せませんが、「山路問題」でググればけっこう画像は出てくるんじゃないかな。
実はこの機能、簡単に解除することができます。
メニューバー「編集」→「環境設定」→「テキスト」の一番下のチェックボックスをオフにすればOKです。
ただしこの機能、孤立点(何の意味もないポイント)を発生させないためには有効なので私は解除していません。孤立点はトラブルの原因なのさ。
なので「山路問題」には気を付けたいと思います。
以上、本日はちょっと専門的なお話でした。