たとえば、ブランドものの財布って良いものだから値段が高いのですよね。とりあえずヴィトンやグッチでもイメージしてください。
造りがよかったり、材質がいいものつかってたり。そして心をグッとつかむデザイン、もっと言えば店舗のインテリアや店員さんのサービス、広告や販促イベント、ウェブサイトまで。
すべてが「これは良いモノです」というベクトルに向かっていることは、間違いありません。よく考えるとこれだけの労力とコストがかかっているのだから、もしかしたらそんなに高くないのかも‥とも思ってしまう。
で、ここからが本題なのだけれど。
いつのまにか、「良いモノだから高い」から「高いモノだから良い」になっているのですね。ある程度ブランドが認知されてくると、たくさんのひとが、あれはヴィトンのナニナニだからいくらくらいかわかるようになる。イコール、あれは良いモノなんだと。
価値観の逆転です。
この循環がさらにブランド価値を高める、マッチポンプ状態。ひいては「良いモノを持ってるから意識の高い人だ」という錯覚までおこさせる。そこまでいけばしめたもの。これがブランドの構造なんだなと、今ふと気付いたのです。
「名は体を表す」はブランド価値にぴったりの言葉なんですが、もともと体がなければ名は生まれない。その感覚は、私が取り組んでいる「デザイン」にも言えることでして。いい商品やコンテンツがあって、それを引き出すためのデザインがあるという構図なんです。ラーメン屋さんのロゴをどれだけかっこよくしても、ラーメンが美味しくなければ意味がないしブランドにはなりません。
よく「ここはデザインの力でなんとか!」とお言葉をいただくことがあります。
ありがたいんですけど、そういうものじゃないんですよデザインって。
品質、価格、デザイン、販促プロモーション。すべてがバランスよく、カスタマーの気持ちをつかむものじゃなくては。
雨後の筍のように増えて、また消えた高級食パンの店を見て何を思うか?