デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

80年代J-POPアルバム紹介 ~奇跡の1枚~ 大貫妙子

一昨日の引き続きです。今日はちょっとマニアックかもしれない。

どんな人にも好きな音楽ってあると思うのですが、それを系統だてて見ると意外と面白い発見がありそうで。

私の場合は、「ナイアガラファミリー」の系統が強いです。もう亡くなってしまいましたが、大瀧詠一のレコードレーベル「ナイアガラ」の関連したアーティストはだいたい熱心に聴いていますね。

まあ、その前のルーツをたどると「はっぴいえんど」になるので、日本の音楽界のかなりの部分を占めてしまうかもしれませんが。

 

大瀧詠一を師と仰ぐアーティストはすごく多いのですが、大滝さん、実はそんなにヒットを出している人でもないのですよね。いやもちろん「ロングバケーション」のあきれるほどのクオリティは誰もが認めるところですが、決して多作ではありません。そのうえ、実験的なお茶目ソング(おふざけソング)も多くて、音楽以外に「勉強家」という肩書もあったようです。それでも多くの人が慕って集まってくるところが彼のスゴイところなんでしょうね。

だって「大瀧詠一が仕事している」というのがニュースになるくらいだったんだから。

「あの大瀧さんが仕事してるんだから、俺もやらなきゃ」って焦るアーティストもいたとか。ほんとかよ。

いや、今日は大瀧詠一の話じゃないんです。

 

わが青春の大貫妙子

ナイアガラの話をすると、どうしても冗長になってしまいます。山下達郎や伊藤銀二、佐野元春杉真理もナイアガラを一つのステップにしていますしね。

で、山下達郎率いるバンド「シュガーベイブ」の紅一点が、誰あろう大貫妙子だったわけです。長かったなここまで。

すごく好きでした、このアルバム。

 

Cliche

大げさでなく、何千回聴いたんだろう。何度聴いてもそのたびに新しい発見があるし、いつも心を癒してくれる。「暗い」とか言われがちだけど、そうじゃないんだ。「静かで強い」という不思議な感覚。そう、ヨーロピアンやロマンティークのヴェールをまとっているけれど、中身はもしかしたらロックなのかもしれません。でなければ私がこんなに夢中にはならないと。

これもたぶん彼女の過渡期のアルバムに位置しています。歌い方も確実にこの1枚から変わってきている。「やりたい音楽」の純度が格段に上がっているのは、方向性にブレがなくなったことが大きいんじゃないかな。

だいたいA面が東京でB面がフランスという構成。東京版の坂本龍一アレンジはかなりいいです。YMOで忙しかっただろうに、こんなに「自分を抑えた」音楽が作れる彼を尊敬します。で、それ以上にフランス版のジャンミュジ―のアレンジが素晴らしいのです。正直、若いときは「それほどでも」と思っていましたが、今聴くと本当に心に沁みる。ありていにいえば映画音楽っぽい感じなのですが、ひねりがないぶん音楽の根源的な美しさを教えられます。まさに「クリシェ!」

 

というわけで、今日は3月3日ということもあり、女性アーティストのアルバム紹介でした。いや、思い入れが強すぎてあんまり紹介していないか。

名盤だから、興味のある方はぜひ聴いてください。後悔はさせません。