デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

印刷屋は零細のシンボルか?トッパン印刷のCMを見て…

なーんか、前から気になっていたのですが印刷屋とか印刷業って「零細」のイメージで使われていますよね。貧乏な三ちゃん企業の代表というかシンボル的に。

このルーツをたどるとたぶん映画「男はつらいよ」に行き着くのでしょう。寅さんの(義理の)妹の亭主が印刷屋勤めのひろしさんで、タコ社長はいつも資金繰りに汲汲としていました。最近では、フジテレビ系ドラマ「スーパーリッチ」でも主人公の両親がやはりさえない印刷屋で登場します。ここでも資金繰りがつかず、しかも知りあいの連帯保証人になって1000万円の借金で貧乏をこじらせていました。

この傾向は昨今のIT化によるペーパーレスで拍車がかかっているようです。出版業もそうですね。だいたい斜陽産業として描かれています。デジタル化に押されて廃刊に追い込まれる雑誌の話とか多い気がします。

まあ確かに、暗くてうるさい工場でインクに汚れて、あまり儲からない仕事に汗を流す時代遅れのイメージはありますね。私も印刷会社に勤める人間なのであまり認めたくないですが、これはしかたないかもしれません。

一石を投じたトッパンのCM

御存じない方が多いのかもしれませんが、「トッパン印刷」といえば印刷業界ではガリバーといわれる一強企業といえます。ナンバー2はDNP(大日本印刷)。以下は多くの大手がしのぎを削っている状況です。

トッパンですが、最近テレビCMうっていますね。大泉洋成田凌が出演し、おもにトッパン印刷の本社で撮影しています。これを見ると、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとした印刷業の明るい未来と、裾野の広い印刷分野が表現されていて少し明るい気分になります。CMとしてはもうちょっと広がりのある展開を期待したいですが…。せっかくいい役者さんを使っているのですから。

余談ですが、印刷関係のCMも増えましたね。能年玲奈ラクスルとかプリントパックなんかの激安印刷が目立ちます。CM枠やタレントのギャラの値崩れなのかな?

印刷業の現状

印刷は設備産業です。高価な機械(印刷機)を購入して、たくさんの部数を印刷することで回収する。景気のいい時は「お金を刷ってる」ような錯覚を覚えるくらい儲かったようです。その甘美な記憶が忘れられず、多くの印刷会社は大きな変革もせず時代に取り残されつつあります。設備産業という性質による構造不況もあります。

 

印刷業の今後

しかしながらトッパンやDNPのように変革を繰り返し、資本力を高めた例があるのも事実。巨大な設備を維持しながら、次の一手を考えること。新しい畑に種をまくことが事業を存続させるのだと思います。今後のキーとなるのは個人情報とコンテンツでしょうね。紙とインクで作ったものを売っていくのは限界がありますから。

では。

 

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