荘子曰く「男子多ければ則ち懼れ多し。富めば則ち事多し。寿ければ辱め多し(男の子が多ければ心配事が多い。金持ちになれば面倒事が多い。長生きすれば恥をかくことが多い)」
ちょっと渋めの書き出しにしてみました。たまにはいいでしょ、こういうのも。
確かになあ。特に3番目の「恥をかくこと多し」は激しく同意です。
ああ、でも若い人は心配しなくて大丈夫です。年を取るにつれて恥を恥と思わなくなることもあるのですから。
昔は「こんな初歩的なこと、聞くのが恥ずかしい」というようなことも、今では平気で聞けますよ。
年々恥ずかしさという感覚が麻痺してるというのもあるけど、「聞くは一時の恥」ということがリアルにわかってくるのですね。
だいたい、聞かないと後で面倒くさいし、自分への足かせになったりもします。
まあ、「それでも恥ずかしい」というのが若さというかプライドなんですけど。
うん、わかりますよ。私だって通ってきた道ですから。
だから、オッサンの私は率先して「恥」を受け入れるようになりました。
仕事がら、聞く習慣ができた
私のやっているデザイナーという仕事は、「知る」ことから始まります。
依頼が入ると、まずはお客様の情報をホームページで調べます。
業務内容・企業理念・沿革・サービスや商品・キャラクターやロゴ・イメージカラーなどなど。あと客商売や病院なら周りの環境なんかも大事ですので、時間があれば実際に出かけてみることもあります。
担当者のお顔を拝見するだけでもかなりの情報量が得られますし(好みという意味で)、雑談から有益な話を聞き出すこともあります。
知らないことを聞くという行為は当たり前のように思えるかもしれませんが、「恥ずかしい」という声をよく聞きます。この感覚もなんとなくわかりますけれど。
意外に会議が終わったあと、「あのさ…」という感じで話してもらえることも多いですね。そんなとき、私はすごく基本的なことを聞きます。「どうして、このキャンペーンを今やるんですか?」とか「そもそも、何のためにやってるんですか」とか。けっこう嫌がらずに答えてくれるし(たまにイヤそうな人もいますが)、相手の懐に入って実のある話が聞けたりします。
看護師さんに教わったこと
私は比較的医療系の仕事が多く、病院で話を聞いたり撮影のロケハンをしたりします。その際、看護師さんはどんなことでもわかるまで何度も伝えてくれます。院内を案内するときも「エレベーターを降りたら左です」と同じ説明を何度も。
これは患者さんに対する姿勢が身に付いているからでしょうが、「学ぶべきところがあるなあ」といつも思います。リスクを回避できるし、よけいな齟齬が生まれない。
デザインプレゼンのときには、相手に恥をかかせないような配慮にもなります。
クライアントの前で絵が描ける
私のラフはほとんど落書きですが、お客様の前で描くことに意味があります。
「そう、そんな感じ」とか「これだったら、こういうレイアウトもあるよね」とか、その場で意見が聞けます。話がぐっと進むのです。
場合によっては「これ、コピーとらせて。社内でもみたいから」と言われることも。
最初は恥ずかしいですよ。自分の走り書きなんて、裸を見られているようなものですから。でも、これもだんだん慣れてくるのです。
だから、私がお客様を訪問するときに持っていくのは、真っ白なコピー用紙数枚。これは欠かせません。
さいごに
とはいえ、まだまだ未熟者ですので時に「ちょっと恥ずかしいな」と思うこともありますね。凡ミスして「や、これはお恥ずかしい」というのはできれば避けたいものです。ホント。
よかったらあわせてどうぞ。
では。