今週のお題「肉」
「シズル」って何ですか?
お笑い芸人?それは「しずる」ですね。まあ、本来の意味から命名しているとは思いますが。
「シズル」は広告の関係者がよく使う言葉です。意味としては…。
まず、肉を思い浮かべてください。美味しそうな肉ってどんな感じですか?
パックの生肉じゃないですよね。鉄板の上でステーキがジュージューと焼けている状態。
このジュージューという擬音がアメリカでは「sizzle(シズル)」となるわけです。
この肉が焼ける音や匂いのように、臨場感があることを「シズル感がある」と表現します。
グルメ写真だけじゃない
この用語を使う場面は十中八九は食べ物の写真なのですが、そうでない場面でも使います。このあたりは久米宏著「シズルはいかが?」にかなり芯を食った内容が載っていたのですが、今アマゾンで調べたら古すぎて販売していませんでした。残念。
アナウンサーの視点による「シズル」の解釈が面白くて、なかなかの良書です。
その中で印象的なのは「ビール」のシズル感がすごい映画。写真や映像ではなくて「セリフ」がビールのシズル感をすごく言い表しています。
戦争映画なんですが、ある軍事パイロットがすごく難度の高いミッションをやり遂げて、上空から奥さんに電話します。
「やり遂げたよ、たいへんな仕事だった」
「お疲れ様。あなたは英雄よ。安心して帰ってきてね」
「ひとつ頼みがあるんだ」
「なに?なんでも言って」
「ビールを冷やしておいてくれないか」
単に味やのど越しだけじゃなく、ビールのおいしさはそのシチュエーションで決まるのだということがよくわかります。
凡庸な広告屋(私?)だったら、ビールのシズル感を「冷えたグラスと適度な泡、さわやかな景色と笑顔」なんかで表すところです。
この映画は見た目ではなくセリフでシズル感が出せる好例ですね。
広告には不可欠な要素
広告とくにインターネットビジネスで、シズル感は非常に重要です。
実店舗と違い購入の判断を「見た目」でせざるを得ないので、商品に対する顧客のメリットやイメージを余すところなく伝えなくてはなりません。
「そのモノが、最もそのモノらしい状態」を見極めることが広告クリエイターの役割だと思っています。
さいごに
動画による表現が盛んになった昨今では、五感を刺激する媒体としてよりシズル感を出しやすくなったのかもしれません。私としては、得意分野でもある写真(グラフィック)やコピーの腕をもっと磨いていきたいなあと思う今日この頃なのです。