デザイナー羊男の毎日

日常の「気づき」のおはなし。ごゆっくりどうぞ。

料理研究家に教わった「本当に役立つこと」

今回は役に立ちますよ。すぐに何がどうなるという話ではないですけど。

 

この話はずっとネタのストックにありました。でも、とっておいても仕方ないし、こういうのは出しちゃったほうがきっと次につながっていくのでしょう。息は吐き出さないと吸えないんだよ。アイデアも同じです。

 

f:id:hitsuji360:20210903211458j:plain

 

土井善晴さんって知ってますか?

NHKの「今日の料理」、テレビ朝日「おかずのクッキング」ともに長寿番組なのでご覧になった方も多いと思います。あの土井勝さんのご子息なんですね。

ご自身は名店「吉兆」で修業し、日本料理・割烹を極めたあと、家庭料理の奥深さに目覚めて民藝の研究をされていました。現在も研究所や大学で教鞭をとっているそうです。

お人柄は柔らかく、だじゃれ好きな関西のおっちゃんみたいな面もあり、でも時々すごく深いひとことをおっしゃるのです。

 

当たり前ですが、そのほとんどが料理に関することです。

テレビで頼りないアシスタントに、「舞茸をほぐしてください」と言ったら手で粉々にされて「なんてことするんや、この人は」と思いながらも、「このほうが舞茸の香りが爆発する。おもろいな…。」「ひき肉との相性が抜群によくなる」と意外な調理法に気づいた話

 

均一でキレイなものより、不揃いのおにぎりや粗くまぜたポテサラがおいしく感じるのはなぜなのか?という話

 

一汁一菜を基本としなさい。そうすると、ごはんや味噌汁のおいしさがよくわかるし食事をたのしめる。
汁の具を変えれば、バリエーションは無限やし。
それが毎日続けば、家族も変に期待しないし、さらにそのときサンマがあれば、子供たちもみんな「今日はサンマがついてるぞ!」喜ぶよね という話

 

どの話もとても面白くて、料理以外のことでのヒントになるのです。

その中でも特に私のバイブルになっている話があります。

 

おいしいものを作ろうと思ってはいけない

なんだか哲学的な話に思われるかもしれませんが、そうではありません。

 

料理には定石があり、素材の良さを引き出すため先人が伝えてきた調理法があります。まずはそこに感謝して、丁寧につくること。

おいしいものを作ろうとするのでなく、まずいものを作らないようにすること

おいしいものを作ろうとすると、ベーシックな部分に穴があきます。それよりも、まずいものを作らなければ、それは「おいしい」のです。

 

この考え方は、私にすごく響きました。

私が生業としているデザインの仕事にもあてはまります。料理で言えば「創作料理」みたいな斬新で突飛なデザインに走りたくなることもありますが、ここでも「下手なデザインを作らないようにする」ことを守ればいいのです。そうすることで自然と「あるべき姿」が見えてくるのだと。

 

応用のきく考え方だと思いますが、どうですか?

すごく役立つ考え方を授かったと思います。もう何年も頭の隅にありますし、会社のスタッフにそれとなく伝えたりしています。

料理やデザインだけじゃなく、意外と仕事全般に言えるんじゃないかなと思うこともあります。いかがでしょう。