私たちが毎日のように飲んだり使ったりしている「水」は必要性が高く大切なものですが価格は安く、「水」ほど生活で必要とされない「ダイヤモンド」は高価です。
すべての経済的価値はそのものの希少性に依存するというのが「希少性の原理」。最近ブランドに関するおもしろい記事(雑誌)を読んだのでここに書いてみます。
藤原ヒロシ氏のブランド Fragment Design
藤原ヒロシ氏の略歴は検索すればいくらでも出てきます。DJ、音楽プロデューサー、ミュージシャン、アーティストなどいろんな顔を持ちますが、一言でいうとカリスマなんですね。海外のカルチャーを日本に持ち込む手腕とセンスの素晴らしさに求心力があるのだと思います。
そんな藤原ヒロシ氏が手掛けるブランドが「Fragment Design」。
今まで、さまざまなブランドとのコラボレーションを果たしています。
・ルイヴィトン
・NIKE
・モンクレール
他にもビッグネームからサブカルチャーまで彼の嗅覚でコラボ先は決めているようです。ストリート系の等身大な感じが、高級ブランドと絡むことで「おもしろい違和感」を生み出すようなブランド。
セックス・ピストルズの曲の一説「ごみ箱の中の花」のように。
「製作」は一切おこなわず、アイデアやデザインのみを提供するのも独自のスタイルです。
コラボのしかたもすごく細かくて、腕時計の針の色を変えたり、クルマのリアウィンドウのスモークを透明にしたり。売りはずばり「センス」なんです。
私は熱狂的なファンではありませんが、どんな動きをしているのかいつも気になる人ですね。
ブランドと希少性について
ここでは藤原ヒロシ氏が語った文章は引用しません。私の感想として書きたいと思います。
そして興味深いのが「希少性」をどうとらえるか。
例えば、ルイヴィトンのバッグはたいへん人気があります。レアなものは人気が上昇し、手に入れた人は誇らしげに持ち歩くことでしょう。誰もが持っていて町のスーパーなんかでレジ待ちの人がお揃いになっていたら、少々価値が下がるかもしれません。
ここまでは「希少性の原理」そのままなのですが、あまりにも希少性が高いとブランドとして成立しません。
そこに「共感性」がないからです。
平たく言えば、「ブランドは人に羨ましがられてナンボ」なんですね。
「あのレアなバッグ、かわいいよね!」の範疇を超えて「何あれ。見たことない」「絶対手に入らない」になったら誰も羨ましくは思いません。思ってもそれこそレアな人たちで、そこはルイヴィトンのバッグを持つ人のターゲット外なのです。
デザインが絶対的なものではなく、相対的に成り立っていることがよくわかります。
藤原ヒロシ氏はそんな希少性をコントロールするのが上手いのでしょうね。
露出を増やしすぎず、さりとてマイナーになって埋没することもなく、一定数の人の話題になる。もちろん、デザインセンスやカリスマ性がベースにあるのですが、ビジネスマインドもかなり持ち合わせていると考えます。
私はブランド物には触手が動かないですが、妻の買い物につきあっているとリアルにこのあたりのことが理解できておもしろいものです。
よかったら、あわせてどうぞ。