今回の記事は絵が多くて楽しいですよ。
「いらすとや」ってご存知ですよね。名前は知らなくてもこの絵を見たら、「ああ、見たことある」とほとんどの人が言うと思います。
そう。今たぶん日本で一番露出の多いイラストレーター、それがいらすとや。
なにがすごいって、もうホントにすごいんだから、いらすとやってば。
前の記事でも書きましたが、彼はまだメジャーでない頃から仕事のパートナーでした。本名はたぶん調べれば出てくると思いますので、ここでは割愛します。とてもさわやかな青年です。春風といっしょに自転車に乗って私の前に現れました。汗だくで。
私はイラストを発注する側だったのですが、その頃からフリー素材サイト「いらすとや」を毎日更新していました。まだ、イラスト点数も少なかったときの話です。
それが今では、他のイラストレーターに恐れられる存在になるとは…。
ちょっと今さら感はありますが、そんな「いらすとや」のすごさを、ご覧ください。
イラストのバリエーションがハンパない
「いらすとや」の特徴は何といってもそのバリエーションの多さ。25,000点以上あります。
「これは、いつ何に使うんだ?」というようなものまで、とにかく数が多いです。
これは毎日せっせと描き続けたのとリクエストに応えまくった賜物といえます。
あと闇を抱えたものもけっこうありますね。
「バリエーションは力なり」です。デザイナーの立場から言わせてもらえば、何ページにもなるWEBやパンフレットが同じタッチで統一できるのは、本当にありがたい。完成度もさることながら、たぶんどんなポーズやシチュエーションも近いものがあるだろうという「作る側の安心感」「痒い所に手が届く感」があります。試しにいらすとやサイトの検索窓に何か打ってみてください。だいたい何か出てきますよ。
あと、トレンドに合わせてリリースするスピードが早いのも人気のある理由です。
めっちゃ使いやすい
細かい話ですが、データがPNG形式なのもありがたいです。データ名もローマ字表記で内容が一目でわかるようになっていて、リンク作業もサクサクです。
サイトも使った人はわかると思いますが、すごく検索しやすい。奇をてらっていない「使う人」の気持ちに寄り添う設計思想だと思います。
そして、もっとも忘れてはいけないのが絵のセンスなんです。リアル過ぎず、ラフ過ぎず、ちょうどいいところに落とし込んでいますよね。ありきたりな言い方ですが、「感じのいい」イラストなんです。企業や自治体、官公庁にいたるまで安心して見られることはなかなかに重要なことといえます。
この画風が、他のイラストレーターに真似できない点だということは案外気づかれていないのでは? 気づかれないくらいプレーン(クセのない)なイラストなんですね。
こんなに使えるのに無料素材
信じられないことに、これが無料なんですね。商用利用でも20点まで無料という太っ腹。ではどうやって食べているのか?
広告収入はかなりのものでしょうね。今では日本のみならず世界で使われているし、テレビでも見ない日はありません。それに加えて、企業との協業や既存キャラとのコラボ、グッズやラインスタンプといったところでしょうか。
安定期に入ったいらすとや
私たちデザイナーとしては、ここまでメジャーになった素材を使うことは困難になってきました。露出も昔に比べると落ち着いてきた感があります。とはいえ安定した需要は必ずあるし、彼(作者)もじっくり仕事のできる環境になったのではと推察します。
いらすとやがピークのとき、世間のイラストレーターが「自分たちの仕事がなくなる」と危惧していたと聞きますが、そもそもビジネスモデルが違うのでライバル視することが「ちょっとちがうんじゃないかな」と思っていました。有料のイラストにはそれなりのニーズと必然性があります。自分の立ち位置をセルフプロデュースできる人がこれからは強いんじゃないかと思います。