私のブログは、人から聞いたことや読んだ本、そして人様のブログ記事から感銘を受けた話をネタにすることが多いです。
今回は、中島らも氏、松任谷正隆氏の書籍を読んで感じたことを書いていきたいと思います。
メロディ限界説
この言葉、ご存知ですか?すごく簡単だけどちょっとコワおもしろい話なのです。
ピアノの鍵盤ありますね。ドレミファソラシの7音と半音(黒鍵)の5音。西洋音楽において理論的には音階はこの12音しかありません。そして、邦楽でもインド音楽でもかなりの部分がこの12音で置き換えることができます。
例えば3~5分の楽曲を作ろうとしたら、その時間の中で12音がどう組み合わされるかという話になります。
「有限の音の組み合わせが作る音楽も、また有限である」ということです。
一日にどれだけの楽曲が作られるのかわかりませんが、その組み合わせはいつかは尽きます。
これがメロディ限界説。
ビートルズの時点で、限界(ピーク)に達したという評論家もいます。
音楽にはグルーヴがある
とはいえ実際にはそこにリズムが加わったりボーカルの微妙なニュアンスが入ったり、新しい音色やコードが増えたりと、「違った要素」がはいってきます。
楽器を手で弾いたときの音のうねりを「グルーヴ」というのだそうですが、ユーミンの旦那でアレンジャーの松任谷正隆氏は「グルーヴ」を操ることこそが「音楽」だと著作に書いていました。
松任谷正隆氏の音楽
彼も、そのキャリアの中で新しいメロディを生み出すことに苦心し、過去の音楽との類似に対して葛藤したとあります。古くは吉田拓郎の「結婚しようよ」から始まり、松任谷由実の全楽曲、松田聖子、ゆず、平井堅、そして新しいアーティストの卵までアレンジやプロデュースという形で音楽に関わり続けてきました。
その完成度は楽曲を聴けば明らかですが、それでも「過去のあの曲と似ている」と感じることはある。結局人は、いままで聞いてきた音楽や体験からしか音楽を作ることはできないということなのです。彼の場合は幼少期のクラシック体験にもバックボーンがありそうです。
このあたりは、新潮社 【僕の音楽キャリア全部話します】松任谷正隆著 に載っています。ユーミンファンならかなり楽しめる一冊です。
その中の印象的な一節。
「いい楽曲、奇跡を起こす音楽は、そこに風景や色が見える。僕はそれが見えるまで作り続ける。」私は音楽に詳しくありませんが、なんだかわかるような気がします。
これからも音楽は続く
そして人は、忘れていくことができる生き物です。何万曲とある音楽をすべて覚えることが不可能である限り、限界を感じることなく音楽を楽しんでいくことは可能だと思います。過去の作品へのリスペクトがあれば、これからのアーティストの作る音楽もずっと続いていくのでしょうし、私も楽しんでそれを聴き続けたいと思います。