この話はいつか書いて残しておきたいなと思いまして。それが今かどうかは自信がありませんが書くことにします。
ファッションについて語るのは、少し気おくれする部分があります。
というのも私、結婚するまでかなりイケてないセンスの人だったんですね。(今もいうほどイケてるわけじゃないですが)
一応デザインなんかを仕事にしているので気は使っていたのですが、その方向性がまるで違っていたと今なら断言できます。
私は「作る」ということに関してプライドを持ってやっておりますが、「消費する」ことが下手だなと結婚して思いました。
その点私の妻はクリエイティブな職業に就いていませんが、「消費する」ことのプロだと尊敬しています。洋服の選び方、外食のチョイス、旅行の計画…。すべてがバランスよく、楽しんでやっているし、これは才能だと思います。あらためて私はこれらが苦手だったんだなあと思わざるをえません。
それが証拠に、結婚してから私のデザインは飛躍的に成長した(させられた)のですから。
そんな妻から学んだファッションの極意というか考え方を、ここに記したいと思います。これだけ押さえれば、はずすことは確率としてぐっと低くなります。
服は消耗品である
これが実感として腑に落ちるのにけっこう時間がかかりました。
「一張羅」という言葉がありますが、高い洋服を買って「これは一生モノだな」なんて思っている過去の自分がいます(今でもまだ片鱗がある)。当たり前ですが洋服は布でできていますので、経年変化は免れません。それも少しずつヘタっていくので気が付きにくい(靴がいい例ですね)。デザインだって「定番」ってないんです。毎年少しずつ変わっていき、気が付けばはずしたモノを着ていることになります。
よく、すごくいいバーバリーのコート(たぶん10万円超える)を着ている紳士やマダムがいますが、デザインはひと昔前で生地もくたびれています。片方でユナイテッドアローズ(3万円弱)なんかでパリッとセンス良く着こなしている人がいる。どちらを選ぶかは自由ですし、本当は高い洋服を毎年買えればいいのでしょうけど不可能です。
ほとんどの人が無尽蔵にお金が使えるわけではありませんので、適度にいい服を適度なスパンで更新していくことが大切なんです。このバランスこそが「センス」。
自分の給与や服以外の支出も含めての計画が「ファッション」なのです。
どんな人に見られたいか?がファッションである
一概に「あの人はファッションセンスがよい」とは言えません。
人それぞれ違うコンセプトを持って生きています。アンティークな趣味を持った人もいるし、スティーブ・ジョブズのように服選びをミニマルにして仕事に集中したい人もいます。メチャクチャ派手なコスチュームで前衛を表現しているアーティストもいるし、コムデギャルソンやシュプリームの服を着ることがアイデンティティの人もいます。
そこまでいかなくても、おしゃれに見られたいかとかキッチリした人に見られたいとかホント人それぞれです。
単純に住んでいる地域や働いている環境もありますし、年齢によって「キツイ」デザインになることも。
ただ、一ついえることは「自分はこういうつもりで洋服を選んでいる」とは関係なく、人から「あの人はこういう人だ」と思われるのがファッションのこわいところです。
まあそこまで考えなくても、映画やドラマを見て、「こんな主人公のようになりたい」と思うことは、服選びのりっぱな理由になると思います。
ちなみに私は「おしゃれに見せたいとは思っていないけど、気の利いた人だ」くらいのコンセプトです。実際はどう思われているかわかりませんが。
ジャストサイズ、これが大事
一つ、妻から学んだ大きな「不可避」はサイズ問題です。
結婚前は、試着もろくにしないで洋服を買っていました。なんだかめんどくさいし、店の人に気を使ってしまう自分がいました。だから、サイズはいつも「少し大きめ」。着れなくては困るけど、「大は小を兼ねる」というズボラさです。窮屈なのがきらいだったのもあるかな。
でも、これが最も自分を野暮ったくしていました。基本のキができていなかったのです。
サイズ感は他の要素(デザイン性・縫製)との掛け算になります。オーバーサイズでハイブランドを着ていても結局マイナスになるのです。私がそうでしたから。
ですから、必ず試着してできれば他の人(店員でも可)に見てもらう。これを実践しましょう。
サイズっていってもSMLとLLくらいでしょ。と思われるかもしれませんが、ブランドによって微妙に違ったりしますし、USサイズだったりもします。自分で言えば、体形がいつのまにか変わっていたのでサイズを変えています。昔はLを買っていたのが、今では時々Sを買ったりしています。
上から下まで同じブランドで、一気に買い揃える
当たり前に思われるかもしれませんが、ファッション極意の一丁目はコーディネートです。これはお店選びが重要となります。簡単に言えば「店頭のマネキンさん」を見て、「これがいいな」と思ったお店をチョイスすること。
実は、お店ごとにおおまかなデザインコンセプトが存在します。限られたデザイナー数人で一つの方針で作られているので、当然のごとく統一感が出ます。
そして店員さんは、コーディネートのプロです。
考えてもみてください。月に数回ショッピングしている我々と、毎日服に接している店員さん。洋服が好きで日々研究・勉強している店員さん。助言を求めないテはありません(もちろん自信のある方はその限りではありません。でもその自信が曲者かも)。
「強引に勧められそうでコワイ」という気持ちはわかります。私もそうです。いまだに。願わくばここでも「信頼できる人」を見つけるといいですね。
洋服の組み合わせは、思ったよりも何通りもありません。色・素材・季節感などでの「定石」があります。定石がわかったら、そこからあまり崩さないのもコツです。
バーゲンは魅力的だけど、要注意
「安く買える」ことは非常に魅力です。しかし、ここからコーディネートが崩れることがあるので要注意です。安いといえどもそれなりに金額が張るのが洋服。結局着なくなってはかえってコスパが悪くなります。
バーゲン品は、できればそのブランドの服を着てショッピングに行かれることをお勧めします。
それでもファッションは楽しい
妻に教えてもらい、今まで自分が知らなかったファッションの面白さを目の当たりにしました。いろいろ書きましたが、もちろん例外もたくさんあります。一応基本はこんな感じです。ご参考になれば幸いです。