車に乗っているとき、ほとんどラジオを聴いています。
好きな音楽を聴いてもいいのですが、何か新しい音楽との出会いがあるのがラジオのいいところ。今、何かハッとするような曲がかかっているんじゃ?と思いCDを止めてラジオに替えてしまうこともしばしばです。
先日も、なにげなくラジオに耳を傾けていると昔なつかしいあの曲が…。
小田和正の「ラブストーリーは突然に」です。もう30年以上前のヒット曲なので知らない人もたくさんいますよね。
すごくいい歌なので、知らない人はなんとか手に入れて聴いてください。Amazonなら中古でアルバム「Oh Year」が300円程度で手に入ります。そして聴いたあとで続きを読んでいただけたら幸いです(スミマセン、YouTubeに本人歌唱のものがありませんでした)。
これは「東京ラブストーリー」というフジ系の月9ドラマの主題歌です。原作は柴門ふみ。ドラマも大ヒットで、これを放映していたときは「月曜の夜になると町から人が消える」といわれるくらいでした(テレビ見たくてだれも町で遊んでいないということね)。いろんな意味で今ではまったくもって考えられない状態なワケですが、それだけよくできていたと自分も思う。思わずサントラ盤も買っちゃったもの。
で、話は歌に戻ります。
何がすごいって「感性を揺さぶる歌詞」なんです。
盛り上がるいわゆるサビの部分、
「あの日あの時あの場所で君に会えなかったら、僕らはいつまでも見知らぬ二人のまま」
すごく印象的なので、「うーんいい」と思うのですが、実はこれがホントのサビじゃない。
で、そのあとほぼ同じメロディに載せて
「君のために翼になる、君を守り続ける。やわらかく君を包む、あの風になる」
とくる。そう、さらに印象的で「強い俺」の決意表明でいっきに心をつかみます。
でも!! 実はこれもホントのサビじゃないんです。
上記2つのサビが何度もリフレインしたあと、そのあとに「本サビ」が来ます。
さあ来ますよ! それがこちら。
「誰かが甘く誘う言葉に、心揺れたりしないで」
そうなんです。ここで「弱い俺、小さな俺」が思わず出てきてしまうのです。
弱いからこその「切なさ」が爆発します。さらにそのあと
「君を包む、あの風になる」
と、もう日本語の文脈がおかしくなるくらいに動揺している主人公がいます。
30年前の私も、同じように動揺していました(若かったなあ)。
この「大サビ」の歌詞は歌の最初のほうで、サワリのメロディで出てきたものですが実はここが重要だったんですね。
さすが小田和正。歌詞の組み立てがすごく手が込んでる。さすが建築家専攻なだけはあります。すごくロマンティックに作られている歌の裏には実にロジカルな構造が隠れているものですね。しかもこれにメロディとリズムが加わるのですから最強です。
私も真似事でコピーを書いたりしますが、作詞の持つ表現力にはかなわないと思います。ちょっとした嫉妬とともに。