「好きなこと、やりたいことを仕事にできるっていいですね!」
ってデザイナーはよく言われる職業のひとつです。他は知らんけど。
でもまあ、確かに好きですよデザイン。飽き性の私が何十年も続けてこられた唯一のものです。
こんな複雑なパズルは滅多にないんじゃないかな。あらゆるバランスの中での「最適」を見つける面白さ。
色や形、書体のバランスはもちろん、コストとクオリティのバランス、クライアントの要求の中で作家性をどう入れるか?の力のバランス、などなど。めんどくさいけど、いいものができたときはサイコー。デザインカンプをつまみに酒が飲めるほどです(変態?)。
あと、お客様を笑顔にできる稀有な仕事でもあるんですね。
ややこしいプロジェクトの会議の場、マーケティングや予算、スケジュール調整などの頭の痛い議題のあと、「次はデザインです」と言った時のメンバーのみなさんのうれしそうな笑顔。だからプレゼンはやめられません。
最近はPDFであらかじめ配ったりするから、嬉しさちょっと半減ですけどね。「おお、いいねえ」じゃなくて、いきなり修正内容になったりしますから。
でもまあ、この仕事は転職だと思っています。っていうか仕事じゃなくて趣味だったら続いていないです。これははっきり言える。どんなに小さな規模の仕事でも、現実の社会に自分の作った何かが影響を与える。そんな責任をともなう故の快感。
もちのろんで、うまくいかないこともあります。いやそちらのほうが多いくらいか。「好きだけじゃやっていられない」ありきたりだけど、いつも思います。「好きだからやっている」なんてとても言えない。それは世間様に対して失礼です。
「得意だからやっている」このほうがしっくりくる。最初は得意でもなかったんだけど、やっているうちに得意になった。そしてその先に「好き」があるんですね。
これだけ長く(30年以上)デザインやってると、対峙のしかたも変わってきます。
手描き→DTP→インターネットの普及と時代が変わるにつれて、
●手先の器用さ(手のデザイン)
●作ったものを判断する力(目のデザイン)
●ネット上の材料をリミックスする力(頭のデザイン)
今は、なんだろう。デザインはどんどんコンテンツになってきてるから、(心のデザイン)かな?
何はともあれ、この仕事に就けたこと、そして続けてこられたことは素直にラッキーです。自分を支えてくれた仕事仲間やパートナー、クライアント、そして家族に感謝です。